言語規範

個別概念を運用する手がかりとしての語音像

〔2006.09.24記〕 人間の思考・認識の対象には現実的なものもあれば想像的なものもあり、意識とは別個の存在であったり意識そのものであったりもする。それら個々の対象は多様であり多様な現われ方をするものであるが、何を対象とするにせよ人間の思考・認識…

ソシュール用語の再規定(暫定)

〔2006.09.03記〕 「ソシュール用語を再規定する試み(1), (2)」で、言語過程説の立場からソシュールの用語を再規定することを試みた。まだ検討が不十分なところもあるだろうが、整理してまとめておく。 シニフィアン→語韻:音韻は実際に発声された言語音の知…

ソシュール用語を再規定する試み(2)

〔2006.09.02記・同日追記・09.03修正〕 「言語学の用語についての実験的試み」(2006.08.29)(「ソシュール用語を再規定する試み(1)」にタイトルを変更しました) に対してオータムさんから啓発されるコメントを戴いきました。そのコメント及びそれに対する…

ソシュール用語を再規定する試み(1)

〔2006.08.29記〕 「言語langue」や「記号signe」(=「シーニュ」)、あるいは「シニフィアンsignifiant」・「シニフィエsignifie」という言葉はいずれも人間の意識の中に存在するものの名称である。しかし原語(フランス語)をそのまま日本語で表記すると…

言語規範――規範と規範意識

〔2006.08.17記〕 規範とは、その表現が「かくあるべし(あるべからず)・かくすべし(すべからず)」という当為(Sollen)として表わされる他者とのあいだに交わされた約束・取り決め・契約などである。規範は取り決めをなした当事者の意識のうちに対象化(客…

誤読「言語の法典を利用するさいの結合」

〔2006.07.25記〕 「ソシュールの「言語」(3) 」(2006/07/16)は小林英夫訳『一般言語学講義』の中の「言語」はすべて「記号の体系」である、と私が思い込んでいたことから始まる誤読の話であった。つまり「言語」と表記されているものの中には「思考言語」と…

ソシュールの「言語」(3)

〔2006.07.16記・同日追記・2006.07.25追記〕 小林英夫訳の『一般言語学講義』には冒頭の「訳者のはしがき」に続いて小林による「解説」が載っている。その中で小林は「ソシュール理論に不案内な初心者には、要点を説明しておくほうが有益であろう」として6…

誤読でした

〔2006.07.13記〕 『一般言語学講義』第II編第4章「言語価値」§1「音的資料へと組織された思想としての言語」についての私の解釈は基本的に誤読であったことを表明しておきます。詳しいことはいずれ書きます。

ソシュールの「言語」(2)

〔2006.07.10記〕 秀さんと私との間で理解が分かれた「言語が現われないうち」あるいは「言語の出現以前」という『一般言語学講義』にあるソシュールの表現について、その表現のある文とその前後の文章とをあらためて読んでみると私の理解もずれていたようだ…

ソシュールの「言語」(1)

〔2006.70.09記・同日追記〕 昨日トラックバックいただいた「ソシュールの言葉に対する解釈」(2006年07月08日)において秀さんは『一般言語学講義』から引用したソシュールの言葉に対する解釈が秀さんと私とでは異なるということを述べ、秀さんご自身が誤読し…

認識・思考における概念(観念)について

〔2006.07.07記〕 〔「幼児の頭の中は星雲のようなものか」付記〕 前稿において私は「私は、人間が思考において運用しているのはさまざまな観念や表象であって言語規範はそれらの観念にラベルを貼るための媒介をしていると考えている」と書いた。認識や思考…

幼児の頭の中は星雲のようなものか(修正版)

〔2006.07.07記・修正〕 前稿に書いたように「言語なしの思考」(2006.07.06)に対して秀さんから「ソシュール的な発想」ということで何を言いたかったのか(2006年07月06日)というトラックバックをいただいている。 それを読んで、思考において人間はシーニュ…

「言語」なしの思考(2)

〔2006.07.06記〕 前稿「言語なしの思考」に対して秀さんからトラックバックをいただいた。それ(『「ソシュール的な発想」ということで何を言いたかったのか』)についての感想はいずれまたということにして、昨日来秀さんの「言語なしの思考は出来るか」に…

「言語」なしの思考(1)

〔2006.07.05記〕 「言語なしの思考は出来るか」(2006年06月30日)で秀さんは「物質的存在が我々に反映という認識をもたらし、存在の属性として世界を理解すると言うよりも、言語によって世界を切り取って、世界の一部を考察の対象にして理解が進むという方が…