ブラインド・タッチと OEA配列


〔2006.07.20記〕

白状するが、実は一年前までブラインド・タッチができなかった。全くできなかったわけではない。ゆっくりやればできるのである。キー配列を覚えてブラインド・タッチを練習したのが olivetti のレッテラ・ブラックという電動タイプライターだった。もう30年近く前のことである。だからゆっくりのんびりやるときは左右の10本指を使っていた。しかし、パソコンで日本語入力(ローマ字変換)をするようになってからはそれなりにスピードを上げなくてはならなくなって、キーボードを見ながら主に左右の人差し指・中指と左手の小指を使って打っていた。

そんな状態でもそれなりの速さで多量のワープロ文書(主に教材)やデータベース・プログラムをつくった。ホームページの文書もそうやって打ち込んだものがほとんどである。だから別段不便だとは思わなかったし、不自由だとも思わなかった。去年の7月にあるブログのある記事を読むまでは……。

それは、キーボードの配列をソフト的に切り替えて日本語の入力をスムーズに行なえるようにするという記事であった。詳しくは「Open ブログ」(南堂久史さん)の「OEA配列」というエントリーをご覧いただくとして、そこに紹介されていた「X Button Maker」というフリーソフトでキーボード配列を南堂さん考案の OEA配列に変えてみたのである。「X Button Maker」を閉じればもとのキー配列に戻せるから失うものはなにもない。「X Button Maker」で配列を設定するのに多少手間がかかるが一度設定してしまえばあとは時間があるときに「X Button Maker」を起動してエディタでブラインド・タッチの練習をするだけである。

これがなかなかのものであった。キー配列を覚えるまでにちょっと時間がかかったが、よく考えられたキー配列だと思った。小指に無理をさせないので指が引きつらないし、子音字が右手、母音字が左手に配分されているのでローマ字入力がとても自然に行なえる。つまり、右ー左、右ー左、……という感じでリズムよく打つことができるのである。ついでにIMEのローマ字設定で "q" に「ん」を割り当てることによって「あんい」が3ストロークで打てるのである。快適だし、何よりも疲れない。それでブラインド・タッチができるのであるから何一つ文句のつけようがない。しいていうと長くこれに慣れてしまうと元のキーボード配列に頭がもどるのに手間取ることである。しかし、私の場合他人のパソコンに触れなければならない機会はめったにないから、それほど困ることはない。

無理にお薦めはしないが、ブラインド・タッチをしたいのに指がついていかないという方はお試し下さい。上にも書いたように失うものは何もありません。